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JPS 越婢加朮湯の 医師の処方解説(漢方体験談)

浮腫(むくみ)から皮膚病や眼病まで応用範囲が広い漢方の妙薬

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JPS 越婢加朮湯

医師・薬剤師  医師・薬剤師の処方箋解説

ここに記述した文書は、すべて医師または薬剤師の漢方薬処方箋解説です。医薬品購入使用者の口コミ情報ではありません。

【越婢加朮湯の症例・治例】…次の症例に近い病症の方は、本方剤をお奨めします。

1〈火傷(やけど)〉

治例図

40代の婦人。
実証。揚げ物をしていて、左手の甲に油を浴び火傷してしまった。中指と薬指が特にひどく、すぐ水で冷やしたそうだが、痛みは激しく、2本の指がくっついて水膨れになってしまった。ガーゼに塗った紫雲膏を張り付け、越婢加朮湯を与えた。痛みはすぐ和らぎ、水泡も3週間で消え、皮膚は破けなかったので、ケロイドにもならず、約3ヶ月の服用で跡形もなく治った。

現代病名:やけど

2〈膝関節の疼痛〉

治例図

43歳の女子。
左側膝関節の痔痛を主訴として来院。全身肥満し、1度も妊娠したことがない。月経に常はなく、大便は1日1行。尿はやや頻数。舌には白苔がある。膝の痛みは、歩行時はもちろん、5分間以上すわっていると痛みに耐えられなくなるという。患部を触診するに、栂指頭大の脂肪塊様のものがあって、これを圧すると痛む。越婢加朮湯を投与したところ、15日間の服用で患部の塊状物が消失して、痔痛もなくなった。この治験に気をよくし、結核性膝関節炎に本方を用い、かえって落痛が増し、食欲も減少したことがある。越婢加朮湯は虚弱者には禁忌である。

現代病名:膝関節の疼痛

3〈全身アトピーの小1女児〉

治例図

小学校1年生の女児。
全身のアトピー性皮膚炎で、皮膚は乾燥して赤く、痒い(かゆい)のでかくと落屑が粉のように落ちる。毎晩1~2回起きて全身を母親にかいてもらうという。食欲もあるし、口渇も強い。いろいろの手当てをしても効果が上がらなかったという。
問診すると汗をかかない子であると母親がいう。そこで汗腺の調節作用のある桂麻各半湯と白虎加人参湯を与えた。約2週間のむと少しずつ痒みが減っている状態になったが、口渇が甚だしいことと、異常に皮膚が乾燥し、座席に粉をまいたように落屑がでるのを目当てにして越婢加朮湯を与えたところ、2週間、4週間と経過がよく、皮膚に潤いがつき、痒みが減じ、約半年で完治に至った。学校で同級生たちにきれいになったといわれ、子供は喜んでいますと母親が言っていた。越婢加朮湯は皮膚疾患の場合、皮膚の「乾湿」はあまり考えなくてもよいといわれる。

現代病名:アトピー性皮膚炎

4〈こまめに処方を変更して完治に導いた〉

治例図

R君(当時22歳〕は、生まれて間もなくアトピー性皮膚炎と診断され、20年以上も症状が続いていました。皮膚が赤くがさがさになって、のどの渇きや、立ちくらみなどの自覚症状がありました。

高名な漢方研究医の診察を受けたところ、温清飲と茵蔯蒿湯を交互に飲むように指示されました。1週間後、汗をかきにくかったR君が汗をかくようになったところで、十味敗毒湯と越婢加朮湯に処方が変更されました。

これをしばらく続け、快方に向かっていましたが、9ヵ月後に炎症が再発。かゆみが出たため、今度は温清飲と越婢加朮湯が処方され、併行してオリーブオイルを外用するように指示されました。3ヵ月後、調子がいいので自分で薬を中断したところ、顔に湿疹が出て、ほてりとのどの渇きを覚えました。

医師に報告すると清上防風湯と越婢加朮湯を処方され、この服用を続けたところ、以後、再発はしなくなったということです。

現代病名:アトピー性皮膚炎

出典出典:「漢方LIFE」 発行所:DeAGOSTINI(2005) 担当医師アドバイス

5〈皮膚病性腎炎〉

治例図

二十歳の男子。

全身が腫れて、陰嚢も毬(まり)のようにふくれあがり、陰茎はその中に没してしまった。以前に疥癬隠疹があったのではないかと問うと、果してこれを外用薬で急に治し、それからこの浮腫が起こったという。

すなわち越婢加朮湯を与え、竜門丸を兼用したところ、数十日で治った。

現代病名:皮膚病性腎炎

6〈ポリープ〉

治例図

一男子。

左足に庁を発し、外科医がこれを治療した後で、肉の茎が生じ、その状はちょうど蛭(ひる)のようであった。刀を以てこれを載り去っても痛まず、切ればまた伸びてくる。翌年別のところに庁が出来て、また同じような肉茎が出来た。毎年このようにして5本も出来、上下入り乱れて脛のところに垂れている。多くの医師は其の原因がわからず、薬をすすめるが効がない。患者の容態を精しくきくと、心胸微煩があり、ときに水を欲し、脚弱を訴えている。

よって越婢加朮湯に伯州散を兼用し、時々梅肉散を以て攻めたところ、数日にして肉茎はみな脱落した。

現代病名:ポリープ

7〈急性腎炎〉

治例図

7歳と5歳の少女。

姉妹がほとんど同時に風邪をひき、扁桃炎より急性腎炎を発した。全身浮腫、小便不利し、微熱があり、脈沈で、発病後数日、定型的越婢加朮湯の証であった。入院をすすめられて迷っているところであったが、二人ともこの方を服用すると、小便快利し、浮腫全く去り、20日ばかりで尿蛋白も消失し全治した。

この治験は昭和11年のころで、すらすらとよくなったので、患者の父親はよろこびのあまり、浅田宗伯翁愛用の匙というものを筆者に贈ってくれた。これはすなわち安政初年、多紀元堅が作制した周尺による古刀圭であった。患者の父は築地佃島の親分、二代目佃政を襲名した下崎長五郎氏であった。

(矢數道明・治験)

現代病名:急性腎炎

8〈流涙症〉

治例図

21歳の未婚の女性。

わけもなくただ涙が流れ、人まえに出られない。対談中も涙がポロポロとこぼれてる。眼科では遠視と結膜炎があるという。風邪のときや、冷たい風にあたったときはひどく、夏よりも冬がはげしい。そのほかに口渇と不眠があり、下痢しやすい。しかし、下痢した方が気持がよいという。

越婢加朮湯10日分をのむと少しはよいという。引き続き一カ月ほどのんで涙が出ない日が多くなった。結局10カ月ほど服薬したが、それでほとんど治って結婚した。

現代病名:流涙症

9〈膝関節痛〉

治例図

43歳の女性。

左膝関節の落痛を主訴として来院した。患者は筋因が硬く肥満していた。一回も妊娠したことがない。月経は異常はなく、尿はやや頻数で、舌に白苔がある。膝の痛みは歩行時はもちろんのこと、五分以上すわっていると、痛みに耐えられなくなる。医師は神経痛といい、また指圧師は脂肪の塊りが神経を圧迫するからだというが、何をやっても治らない。

患部に栂指頭大の脂肪塊があり、圧痛がある。越婢加朮湯を与えたところ、一五日分の服用で、塊状物が消失し、落痛も拭うようによくなった。越婢加朮湯は体力も十分あって、脈にも腹にも力があり、一体に熱状のある関節炎に用いる。筋肉が軟かでしまりがなく水太りのあるものは、防已黄言揚である。虚実の差があり、老人、虚人には注意を要する。

現代病名:膝関節痛

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