Now Loading

ツムラ 抑肝散 エキス顆粒(医療用)の 医師の処方解説(漢方体験談)

肝機能を整え、高ぶった精神状態を改善する漢方の妙薬。認知症、パーキンソン病、脳出血後のふるえ、乳幼児のひきつけ、夜驚症、眼瞼痙攣、神経性斜頸、夜の歯ぎしり

↓ご注文へ ↓ページ最終へ

この商品ページは、4ページあります。

ツムラ 抑肝散 エキス顆粒(医療用)
相談窓口

 EBM

【抑肝散の臨床効果に関する・エビデンス】…根拠に基づく医療(Evidence-Based Medicine)です。

1〈認知症〉患者数:52

●対象:認知症患者で幻覚妄想攻撃性、無気力などの精神症状を認めるもの52例(男性24例、女性28例、平均年齢80.3歳、内訳はアルツハイマー病30例、脳血管性認知症9例、脳血管障害を伴うアルツハイマー病3例、レヴィー小体に伴う認知症10例)。

●方法:抑肝散または無投与として、投与期間を4週間とした。1週間後の状態が不良の場合は塩酸チアプリドを追加投与した。

ランダムに抑肝散群と経過観察のみの対照群に分け、異常行動・精神症状の指標としてNeuropsychiatric Inventory(NPI)を、認知機能の指標としてMMSEを、日常生活動作の指標としてBIを用いた。

ポイント:抑肝散群では幻覚、興奮・攻撃性、易怒性、異常行動が改善し、NPIとBIがともに有意に改善した。

対照群はNPI、BIともに変化が認められなかった。

MMSEは両群とも不変であった。

チアプリドは抑肝散弾に投与した例はなかったが、コントロール群では11例に投与された。

参考文献:J Clin Psychiatry,66:248-252,2005

2〈眼瞼痙攣〉患者数:47

●対象:眼瞼痙攣を主訴に来院した外来患者のうち、屈折異常以外の眼疾患を伴う患者を除外した47例(男性14例、女性33例)。

●方法:40例に抑肝散(7.5g/日)、7例に5.Og/日を投与した。このうち、24例(男性11例、女性13例)については、抑肝散投与開始前1週間メチコバール3錠/日を内服投与(全例メチコバールによる症状の変化なし)した。

抑肝散投与開始後5日以内に眼瞼痙攣の消失がみられた症例を著効、眼瞼痙攣の消失が7日以降あるいは自覚的な改善があっても完全な消失に至らない症例を有効、眼瞼痙攣の消失が認められなかった症例を無効とした。

ポイント:著効例25例(53.1%)、有効例20例(42.6%)、無効例2例(4.3%)であった。

副作用は軽度の食欲不振3例(6.4%)のみであった。

抑肝散により軽快中止後の再発例6例に抑肝散を再投与したところ、3例は1週間で、残り3例も2週間後には軽快した。

参考文献:臨床眼科,56:183-190,2002.

医師・薬剤師  医師・薬剤師の処方箋解説

ここに記述した文書は、すべて医師または薬剤師の漢方薬処方箋解説です。医薬品購入使用者の口コミ情報ではありません。

【抑肝散の症例・治例】…次の症例に近い病症の方は、本方剤をお奨めします。

1〈ひどい夜泣きが1週間で治まった〉

治例図

2歳の男の子を持つ母親が「息子は敏感な子どもで摘が強く夜泣きがひどい」と漢方薬局に相談に来ました。連日のように続く子どもの夜泣きのせいで、母親の表情はうつろで明らかに疲れがたまっているようでした。

漢方薬局では、癇の強い夜泣きに効く抑肝散を勧められました。この漢方薬は苦みがわずかにあるので、細粒にしてミルクに混ぜたり、ジュースに入れるなどして、1日3回(分量は1g以下程度)飲ませたところ、約1週間で癇の虫が治まり夜眠れるようになったそうです。その即効性には母親も驚いてしまい、以来夜泣きで同じように悩んでいる母親を見ると、漢方薬を使ってみるように勧めているそうです。

この症例では抑肝散が処方されていますが、同じ夜泣きでも胃腸の弱い子どもには甘麦大棗湯が有効だと考えられています。甘麦大棗湯は、味が甘く苦みも少ないので、子どもにとっても飲みやすい漢方薬の1つです。大人が飲んでも神経が落ち着いてリラックスできます。そのため、不眠症の改善にもよく用いられる処方です。

弁証論治 肝腎陰虚  

現代病名:夜泣き

出典出典:「漢方LIFE」 発行所:DeAGOSTINI(2005) 担当医師アドバイス

2〈認知症が消えた〉

治例図

B子さん(76)は、70歳を過ぎたころから少しずつ物忘れが目立ってきた。3年ほど前から、「部屋に知らない男性がいる」と幻覚に悩まされ、しばしば近所に助けを呼びに行くようになり、家族が東北大学病院の老年科「物忘れ外来」に連れてきた。

症状の特徴やMRI(磁気共鳴映像法)検査、脳血流をSPECTで調べた結果、レビー小体病と診断し、荒井教授が抑肝散を処方したところ、2週間後には幻覚を訴えなくなった。

だいぶよくなったからと、家族が抑肝散の服用をやめさせた。すると再び幻覚が表れ、あわてて抑肝散を処方してもらったところ幻覚がほぼ消失し、いまでは落ち着いているという。

弁証論治 肝気鬱結(肝気鬱滞)  

現代病名:認知症

3〈ヒステリー症〉

治例図

43歳の婦人。二年前から胃腸障害を訴えていた。本証は約六カ月前から発している。

頭を絞めつけられるような頭重感・めまい・耳鳴り・視力もうろう・歩行時足が地につかず、フラフラとして、急に穴に引き込まれるようになる。何かショックをうけるような話を聞いたり、見たりすると、たちまち脳貧血を起こして倒れる。これが恐ろしいので単独外出ができない。また怒りっぽい癖があって、道で他人に会って、その人の着物の着方が気に入らぬと腹が立ってくるという。それらは経行前後に著明である。電車の中で心悸元進や脳貧血を起こすことが恐ろしく、同伴者がなければ外出できない。市電ならば途中で止めてもらえるから乗れるが、汽車や国電は乗ることができない。刃物を見ると自分はこれで自殺するのではないかとか、自分は気違いになるのではないかという予期恐怖がある。

この患者は上流家庭の夫人で、可能な療法は何でも受けてきた。最近某大学病院でワ氏反応陽性といわれ、サルバルサンの注射を受けたところ、全身状態が悪化し、発熱臥床して数日間苦しんだ。以来鰺々として籠居の状態であった。この患者の体質は痩せ型、胃下垂、皮膚軟弱で腹部も全般に軟かで、左の膀傍より心下に及ぶ大動悸が著明に触れるのであった。

そこで浅井家腹診書に従って抑肝散加陳皮半夏を投与した。すると服薬五日にして患者は単独で来院した。

顔色は別人のように活気づき、歩行もしっかりして、患者は半年ぶりでひとりで外出することができたと大得意であった。服薬三日後には諸症状消散して、全身に活気がつき、室内の掃除を自発的にするようになり、女中が不思議だと驚いているという。腹診してみると初診とは全く一変して腹カがつき、あの大動悸が静かになっている。以来半年問の服薬を続けたが、毎年冬には風邪をひきどおしであったが、今年は一度もひかず、また例年の冷え症が大変よいといって感謝された。知人に会うと顔色はよいし、元気で太ったといって驚かれるということである。

現代病名:ヒステリー

4〈神経性斜頸に抑肝散〉

治例図

21歳の未婚の女性。

医師の診断は神経性斜頸と、左側胸乳筋痙攣性収縮というものであった。初診は昭和33年四月のことであった。昨年三月、患者は東京の某女子短大を卒業したが、そのころから、本病が起こった。七月ごろから漸次増悪して秋ごろには全く正常体位を保つことができなくなった。そこで本年一月に上京して某大学病院の診察をうけたところ病名は同じで、内服薬や電気治療をしてくれたが全く効果がなかった。現在中等度の斜頸で、左上半身は肩をすぼめたようにゆがみ、脊椎は左側に湾曲し、努力して正常位にすればすぐまた傾いてしまう。

脈は沈緊、心下季肋下部は硬く、腹直筋も緊張し、とくに左右の側腹部胆経が過敏である。両便月経正常、感情的にとくに変化はないが、気の早い性質である。すべて全身的に筋肉は硬く触れ、刺激に対しては敏感である。

よって本証を抑肝散の証とし、これに芍薬甘草湯を合方し、項背こわばるものとして葛根を加えた。

当帰・川弓・白・扶苓・釣藤・芍薬・柴胡・甘草 各3.0 葛根5.0

この薬を一カ月服用後は気分的にも一進一退の状態であったが、ニカ月後には急に好転し、筋肉の緊張も緩解し、三カ月間の服用で全治した。本例は患者を紹介してくれた針灸家の治療も、大いにあずかって力あったことと思われる。

現代病名:神経性斜頸

5〈チック病〉

治例図

八歳の少女。
約一カ年ほど前から、しきりにまばたきをしたり、鼻をゆがめたり、クンクンのどを鳴らしたり、顔をゆがめたり、とても忙しい格好をするようになった。またときどき外陰部をいろいろの物体にすりつけたり、手でいじったりして困るという。

医師はチック病と診断し、薬はないといわれたという。母親の語るところによれば、かなり神経質らしい。

腹診上、上腹部で、腹筋がやや緊張している以外に特別な所見はない。

抑肝散加厚朴芍薬として与えた。二週間服用したがややよい。三ヵ月後にはほとんど全治したかに見えたが映画を見て恐ろしくなり、夜中にとび起き大声でわめいたり、不眠を訴えたりして、七ヵ月かかったが、これでよくなった。

この方は俗にいう癇がたかぶって、怒りやすい人、筋肉がひきつれたり、ふるえたりするものに用いることが多い。脳出血・脳膜炎・日本脳炎などのうち、いつまでも手足がふるえたり、ひきつれたり、感情がいらいらしたり、たかぶったりするものに用いる。

現代病名:チック病

6〈クル病〉

治例図

昭和17年の10月下旬、顔色のわるい男の子を母親が背負って来院した。この子は三歳になるというのにまだすわることもできず、手も足もあまり動かさず、ただ瘤ばかり強く、朝から晩まで、アァアァと泣きどおしで、きげんが悪くて困るという。風邪をひきやすく、すぐ40度近い熱を出すことがある。

私は瘤が強くてきげんが悪いというのを、目標として抑肝散を与えたが、これをのみ始めてから、落ちついて夜も眠れるようになり、ぐんぐん体力がっき、風邪もひかなくなり、半ヵ年ほどで歩くようになった。

昭和25年の秋、私は往診先で、偶然この子に会ったが、りっぱな学生になり、学校の成績もよいということであった。

現代病名:クル病

7〈脳出血後遺症〉

治例図

舞踊の家元の婦人が脳出血で左半身が不自由になった。

この婦人は勝気で、計画が実行できないと、気が立ってよく怒り、左手を動かすとその手がしきりにふるえる。足も突っぱった感じで思うように運ばない。夜もよく眠れない。

私はこれに抑肝散を用いたが、薬をのむと気分が静まり、安眠できるようになり、手足も軽くなり、ひとりで歩けるようになった。

現代病名:脳出血後遺症

8〈痙性斜頸が3週間で治癒〉

治例図

Iさん(38歳・男性〕は、プランニング会社の管理職として、忙しい毎日を送っていました。

ある朝、自分の意思に反して首が勝手に横や前後に倒れるようになってしまいました。首の筋肉がとても痛み、一時も休まりませんが、夜になって体を横にして休むと緩和するのです。

漢方を扱う医師にみてもらったところ、問診と腹診から精神的緊張による痙性斜頸と診断され、抑肝散加芍薬甘草湯が処方されました。

同時に、仕事のペースを落として生活を改善するよう指導され、実行したところ約3週間で症状が治まったそうです。

現代病名:痙性斜頸

↑ページ先頭へ