ここに記述した文書は、すべて医師または薬剤師の漢方薬処方箋解説です。医薬品購入使用者の口コミ情報ではありません。
【帰脾湯の症例・治例】…次の症例に近い病症の方は、本方剤をお奨めします。
住職のKさん(56歳・男性〕は、半年ほど前から原因不明の皮下出血(紫斑)に悩まされていました。
「もしや悪い病気では」と不安になり、大学病院で検査を受けたところ、血小板減少症との診断を受け、外来に通院しています。
ただし、通院当初は、検査を受けても原因がはっきりしないことや、病院でもらう薬を飲んでもあまり症状が改善しないことから、Kさんの不安は徐々に高まり、イライラしたり、弱気になったり、精神状態の安定しない毎日でした。
そこで、担当医師が同僚の漢方を扱う医師に相談したところ、Kさんの精神状態が症状を悪化させているとの判断から、帰脾湯を勧められました。Kさんが服用を始めると、2ヵ月ほどで血小板が増加しはじめ、出血傾向も軽くなりました。
Kさんは元気を取り戻し、毎朝、勤行に励んでいるそうです。
現代病名:血小板減少症
会社員のAさん(20代後半)は、仕事と家庭を両立させている頑張り屋の女性です。ただ、昔から目立って丈夫な方ではなかったので、年に何回かは体がもたなくなって会社を休むときがあったそうです。
そんなAさんの体を心配していたお姑さんが、再び彼女が体調を崩したとき、知り合いの漢方研究医がいる病院に連れていきました。
Aさんは貧血で顔色が悪く、最近はときおり動悸がして、夜あまりよく眠れずに、寝汗をかくといいます。医師がほかに気になる症状を尋ねると、疲れからか、最近、物忘れしてしまうことがあるということでした。さらに、Aさんは胃腸が弱く、月経不順で不正出血もありました。
そこで、医師は、止血作用のある帰脾湯という漢方薬を処方しました。
すると、ほどなく出血の方は気にならなくなり、やがて、貧血も日常生活に支障ない程度に回復しました。
漢方治療を始めて1年もすると、体調を崩すことがなくなり、会社を休まなくてすむようになったということです。
現代病名:貧血
出典:「漢方LIFE」 発行所:DeAGOSTINI(2005) 担当医師アドバイス