ここに記述した文書は、すべて医師または薬剤師の漢方薬処方箋解説です。医薬品購入使用者の口コミ情報ではありません。
【平胃散の症例・治例】…次の症例に近い病症の方は、本方剤をお奨めします。
32歳、主婦。
連日の暑さに毎晩ビールを飲み、1週間後に胃が痛く食欲がないと来院されました。日中は冷房は使わないけれど、夫が帰宅すると冷房を入れると言います。吐き気、便秘、下痢などはなく、胃の痛まないときは胃が重苦しくてたまらないと訴えていました。中肉中背の人で、腹も中等度の軟らかさでした。平胃散をのんでもらうと、胃の痛みもとれ、1週間ほどのんですっかりよくなりました。
現代病名:胃痛
都内の美容院でアシスタントをしながら美容学校に通っているAさん(18歳・女性)は、3年前から異常な食欲の高ぶりを感じ、一度の食事で3、4人前を食べ、さらにスナック菓子やピザを食べるという食生活を送っていました。
Aさんのあまりの大食ぶりに、最初はおもしろがつたり、あきれたりしていた同僚たちも、そのうちAさんの食欲は病的ではないかと心配するようになり、しきりに心療内科での診察を勧めるようになりました。
Aさんがしぶしぶ病院に行くと、神経性大食症との診断です。3年前に一人暮らしを始めたことがストレスとなり、食欲異常になっているのではないか、とも言われました。その後Aさんは、食事指導とカウンセリングを月に2回受けましたが、食欲は一向におさまりませんでした。
そんなとき、同僚に紹介された漢方薬局を訪ねたところ、平胃散を飲むように勧められたのです。現在、Aさんは平胃散を1日3回飲みながら、カウンセリングを受けています。
まだ食欲は衰えませんが、明らかに食事の量は減ってきているとのことです。
現代病名:神経性大食症
出典:「漢方LIFE」 発行所:DeAGOSTINI(2005) 担当医師アドバイス
会社員のKさん(46歳・男性)は、中肉中背で、これといった病気をしたことがありませんでした。ところが、課長に就任したころから、仕事に関するストレスを感じるようになったのです。
ある日、Kさんは就業後に親睦を兼ねて部下たちと飲みにいきました。生ビールをジョッキで数杯飲んで帰宅しましたが、それほど酔っていたわけではありません。しかし、布団に入って寝ようとしたところ、急に胃の辺りが痛みはじめ、寝ることすらできなくなってしまったのです。
翌日も胃の痛みは消えず、背中にも反射の痛みが出て、食事ものどを通りません。
そこで、Kさんは漢方を扱っている医院を訪れたのです。Kさんを診察した医師は、中間管理職の精神的ストレスと冷たいアルコールが原因の急性胃炎と診断し、平胃散を処方しました。平胃散を服用しながら体を温かくして、消化のよいものを少量食べるようにし、1日安静にしていたところ、胃の痛みがなくなり、Kさんは翌日出社できるまでに回復しました。
念のため平胃散を4日間服用し続けたところ、普通食に戻ったそうです。
現代病名:急性胃炎