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ツムラ 小柴胡湯加桔梗石膏 エキス顆粒(医療用)の 医師の処方解説(漢方体験談)

のどが腫れて痛む、ことに熱がある

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ツムラ 小柴胡湯加桔梗石膏 エキス顆粒(医療用)
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【小柴胡湯加桔梗石膏の臨床効果に関する・エビデンス】…根拠に基づく医療(Evidence-Based Medicine)です。

1〈上気道炎〉患者数:120

●対象:上気道炎の小児患者120例、1歳~14歳、男児61例、女児59例。

●方法:小柴胡湯加桔梗石膏を7~10日間投与して、症状の変化から改善度を評価した。

ポイント:7~8日後における全般改善度では、改善以上44.1%、軽度改善以上86.6%であった。

自覚症状では、咽頭痛において改善以上69.4%、軽度改善以上90.6%であった。

頭痛において改善以上55.0%、軽度改善以上95.0%であった。

咳漱において改善以上47.4%、軽度改善以上84.2%であった。

他覚症状では、咽頭腫脹において改善以上40.0%、軽度改善以上64.7%であった。

咽頭発赤において改善以上50.0%、軽度改善以上83.0%であった。

扁桃腫脹において改善以上35.0%、軽度改善以上62.5%であった。

扁桃発赤において改善以上57.1%、軽度改善以上82.1%であった。

参考文献:小児科診療,38:1409-1413,1985.

医師・薬剤師  医師・薬剤師の処方箋解説

ここに記述した文書は、すべて医師または薬剤師の漢方薬処方箋解説です。医薬品購入使用者の口コミ情報ではありません。

【小柴胡湯加桔梗石膏の症例・治例】…次の症例に近い病症の方は、本方剤をお奨めします。

1〈急性頸部リンパ腺炎〉

治例図

●〔現病歴〕6歳女児。4月25日、頭痛と頸が痛いと云う。熱が39度に近く、右の頸が腫れている。医師に診てもらったらリンパ腺炎であると云われた。それから局部に氷嚢を当てて臥床した。

その後、病勢は漸次さかんになり、腫脹と惨痛のために頸の運動がさまたげられ、頭を左側に傾けた位置をとり、起臥が楽にできなくなった。熱は38度より40度の間を往来し、時々悪寒がある。食欲は減退し盗汗が出る。(略)余の許を訪れたのが5月13日である。

●〔主訴〕右頸腺腫、疼痛、頭痛、食欲不振、盗汗、往来寒熱(熱は最高40度に至る)。

●〔現病歴〕体格中等、栄養中等の女児。(略)脈はやや数であるが著変はない。舌には一面に白苔かかる。扁桃腺の肥大なし、(略)右頸腺部鳩卵大に腫脹隆起し、圧に対して過敏、波動を触れず、表皮の発赤なし。腹壁厚くして弛緩す。膀傍に抵抗強き所ありて圧痛あり。便通は秘結す。

●〔処方〕小柴胡湯加桔梗石膏。

●〔経過〕投薬後5日目、すなわち5月18日に再来す。診察室に入るや非常に良くなったことを感謝された。先ず頸は自由に動く様になり、頸部の腫脹は外観では左右比較して殆ど分からないぐらいになり、触診するとまだ指頭大の硬い部分があって強く圧すれば痛い。熱は平熱になり、元気が平常通りに回復した。(略)何もかも良くなって前日とは見違えるようである。薬は前方を続けさすべく、5日分投与した。5月23日、全治を告ぐ。頸腫の腫脹はまったく触れず。

現代病名:急性頸部リンパ腺炎

ポイント:(略)小柴桔石を用いて頸腺腫、耳下腺腫を急速に軽快せしめた同様な例をしばしば経験している(略)。小柴胡湯加桔梗石膏は急性扁桃炎、乳房炎にも応用しているが、頸部リンパ腺炎および耳下腺炎に著効がある様である。

2〈扁桃炎をともなうアトピー性皮膚炎〉

治例図

●〔症例〕6歳女児、小学生。

●〔主訴〕全身の湿疹。

●〔現病歴〕生後間もなくから湿疹が全身にできた。かゆみが強く、皮膚科でアトピー性皮膚炎と診断され、塗り薬をもらってつけいたが、一向によくならない。湿疹は一年中できているが、毎年4月頃はとくに悪いという。喘息はないが、ふだんから風邪をひきやすいのでのどを痛めやすく、扁桃炎を患ってすぐ高熱を出す。便秘がちで2日に1行。

●〔現症〕125cm、24kg。顔色、栄養状態はふつう。全身、とくにあごの下や肘、膝の後などに小丘疹が密集し、発赤してかゆみが強く、ひっかいたあとが見られる。浸出液はなく、皮膚は乾燥しているが、落屑は見られない。両側の扁桃腺は赤く、中等度に腫脹している。左頸部リンパ腺も腫脹している。

●〔経過〕小柴胡湯加桔梗石膏を投与。3ヵ月後、湿疹は完全になくなった。初診以後、一度も風邪をひかないし、のどの腫れもなくなった、便通もよくなった。いつの間にか湿疹がどこにもなくなったという。生後間もなくからの湿疹であるから、発症後6年たっていたが、わずか3ヵ月余で完治したと、付き添いの母親は大変な喜びようであった。後1ヵ月服用して廃薬。

現代病名:扁桃炎をともなうアトピー性皮膚炎

ポイント:アトピー性皮膚炎に小柴胡湯加桔梗石膏が奏効することがある、扁桃肥大のある場合に有効例が多いようである。

3〈小柴胡湯加桔梗石膏が効いて再発なし扁桃摘出手術を免れそうな女児〉

治例図

【患者】8歳の女児。身長135cm、体重33㎏。初診は2005年1月。

【症状】それまでも時折、扁桃炎にかかっていたが、2004年11月から3ヵ月間、化膿性扁桃炎を繰り返した。検尿で潜血陽性が認められ、このままでは腎炎に進むおそれもあると、耳鼻科で扁桃摘出の手術を勧められた。親から「薬で何とかならないか」と相談を受けた。

これまでにも数多くの反復性扁桃炎を漢方で治癒に導いた経験から、漢方治療を勧めた。

【漢方的特徴】脈は弦、やや沈。舌は乾湿ほどほどながら、やや厚い白苔あり。腹力は中等度で胸脇苦満がとくに右側に著明。

【治療経過】感冒や扁桃炎、あるいは中耳炎を繰り返す子供の体質改善には柴胡剤が好んで用いられる。胸脇苦満は柴胡剤の適応を示し、虚実中間証とみられたことから小柴胡湯を選択。05年1月末から投与を開始した。

以後3ヵ月間、発熱はなかったが、4月末に溶連菌性扁桃炎にかかり、6月にも扁桃炎を起こした。そこで小柴胡湯加桔梗石膏を処方したところ、これがよく効いた。

以後、扁桃炎の再発なしで経過しており、このぶんなら扁桃摘出は免れそうだ。

現代病名:反復性扁桃炎

ポイント:反復性扁桃炎に限らず、いわゆる「のどの弱い」風邪症状を繰り返す子供には小柴胡湯や柴胡桂枝湯が、比較的飲みやすいこともあり、よく用いられ、効果も高いようだ。

効いたといえる例でも、体質によっては、効果が表れるのが遅いこともある。そのような場合には桔梗石膏を加えるとよい。桔梗の根は古くから膿性の痰、化膿性の腫れ物、咽喉の痛みに用いられてきた。また、消炎解熱作用のある石膏と組んだ桔梗石膏として、あるいは葛根湯や小柴胡湯に加味して、主に咽喉炎症の急性期に利用される。

この症例のように、咽喉部炎症が長引いたり反復したりする場合にも、桔梗石膏で抗菌・消炎をしながら柴胡剤による体質改善を待つという作戦をぜひ試していただきたい。

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