ここに記述した文書は、すべて医師または薬剤師の漢方薬処方箋解説です。医薬品購入使用者の口コミ情報ではありません。
【釣藤散の症例・治例】…次の症例に近い病症の方は、本方剤をお奨めします。
65歳、男子。
早朝、起床時の頭痛と、脈の結代とを主訴として来院したが、腹部は全般的に弱く、臍部で動悸が亢進し右季肋下に少し抵抗がある軽微の胸脇苦満があった。
そこで柴胡桂枝湯を与えたところ、1ヵ月ほど服用しても頭痛がとれないので、釣藤散にした。すると、10日分のみ終わるころには頭痛がしなくなった。それ以来、前のような頭痛を訴えなくなった。
現代病名:頭痛
52歳男子。
梅毒の既往症があり、3年ほど前から頭重とめまい、耳鳴りに悩まされる。現在の症状はその他に、腰痛、背痛、後頭部の緊張感、排尿後の不快感などもあり、便は硬く、1日2回である。脈はやや沈で弦、血圧は右が、158/94、左が167/102と、左右でかなりの差があった。右に胸脇苦満が認められる。
釣藤散を投与、3週間日頃から愁訴は急速にとれはじめ、2ヵ月後にはほとんど全快した。
現代病名:頭痛、耳鳴、めまい
50代の男性。体格は中肉で主訴
は高血圧と頭痛でした。
特に朝方頭痛があり、高血圧で
病院にも通われています。来局時、本人はまっすぐ歩いているつもりでも実際は横にフラフラしているという状態でした。
釣藤散を勧めましたところ、1週間くらいで全体に症状が軽くなったということでした。以後断続的に服まれています。
現代病名:頭痛・高血圧
T男さん(55歳)は、高血圧で通院していましたが症状が改善しないため、漢方治療に切り替えることにしました。
そこでT男さんは駆瘀血剤の桂枝茯苓丸と動脈硬化を治す釣藤散を処方され、併せて足元の冷えを治すため半身浴を勧められました。治療を続けて1ヵ月、肌がツルツルになりはじめ、その後血圧が安定するにつれ、肌が白くなっていきました。T男さんは休日の草野球で日焼けしていると思っていたのですが、赤黒い顔色は、実は高血圧のせいだったのです。
現代病名:高血圧・肌荒れ
出典:「漢方LIFE」 発行所:DeAGOSTINI(2005) 担当医師アドバイス
Sさん(80歳・女性)は、ヒマワリ畑を見に、家族でドライブに出かけました。そのさい、トイレ休憩を取るのを遠慮し、水分補給を控えてしまいました。
すると、帰宅後、手にまひが現れたため、すぐにかかりつけ医師の診察を受けました。当日は釣藤散の服用と水分補給、翌日は、釣藤散と続命湯を交互に飲んだ後、大学病院に入院してCTを撮ることになったのです。
発作を起こした脳梗塞の箇所は治っていましたが、ほかにも小さな脳梗塞が多数見つかりました。そこで、入院中は釣藤散、退院後は桂枝加朮附湯を交互に服用することになりました。Sさんは、その後83歳で老衰で亡くなるまで、脳梗塞を再発することはありませんでした。
現代病名:脳卒中
Hさん(68歳・女性)は、昨年、突然ひどい眼痛と頭痛、吐き気に襲われ、急いでタクシーで病院に駆けつけたところ、閉塞隅角緑内障(へいそくぐうかくりょくないしよう)と診断されました。
眼圧がかなり高く、すぐに下げる必要があったため、両目ともレーザー虹彩光凝固術をし、隅角をふさいで房水の流れを悪くしている虹彩を切開しました。
レーザー治療後、眼圧は15~16㎜Hgの正常値に落ち着きましたが、眼痛と頭痛の症状は変わらず、数カ月たっても軽快しませんでした。
そこで、Hさんは漢方治療を試してみようと決心し、漢方を扱う病院を訪れたのです。処方された釣藤散のエキスを服用していると、2週間で症状が和らいできました。そして1ヵ月後には頭痛が消え、眼痛もなくなったのです。現在、眼圧は15~16㎜Hgのままで、視野は正常に保たれているそうです。
現代病名:閉塞隅角緑内障
主婦のMさん(58歳・女性)は、高血圧で脳動脈硬化症という持病から、眼底出血を起こして治療を受けていました。
眼
底出血は順調に吸収されてきていますが、毎朝頭が重く、常に目覚めが不快でした。
この症状を取りたいと、漢方医に相談したところ、釣藤散を処方されました。
Mさんは、虚証でも胃腸は丈夫でしたから、釣藤散で胃が不快になることはありませんでした。
釣藤散の服用を始めてまもなく、頭の重さが消えたほか、高血圧によるさまざまな不快症状もなくなり、血圧も下がりました。
現代病名:眼底出血
出典:効果的だった漢方薬と番茶のうがい
40代のころから眼圧が高くなり、かかりつけの眼科から、長年、点眼剤をもらい続けていたC子さん(62歳)ですが、最近は、眼圧が高くなると激しい頭痛と高血圧に悩まされるようになりました。
そこで、家庭医の内科医に相談すると、「これといった体の異常は認められないので、1度、漢方を試してみましょう」と、近くの漢方薬局を紹介されました。
漢方薬局では、中肉中背で、肩こり、めまいを訴えるC子さんを虚証と診断し、釣藤散と八味地黄丸を処方しました。
C子さんは、薬剤師の指示通りに1週間ほど服用したところ、眼圧と血圧が安定し、頭痛が和らぎ、気分もスーツと楽になったそうです。
ただ、服用を中止するとまた眼圧が上がり、頭痛も再発するので、その後も継続的に2種類の漢方を服用しています。
現代病名:緑内障
また、W代さん(67歳)は3年前から両耳の耳鳴りに悩まされていました。
W代さんの耳鳴りは、左右で音が違う上に音がかなり大きく、日常生活に支障を来たすほどでした。W代さんには、朝に真武湯、昼に柴胡桂枝湯、夜には釣藤散が処方されました。
これを服用するようになって4ヵ月後には、音が気にならなくなっていました。さらに6ヵ月後には、日常生活に全く支障のない程度にまで軽減されたのです。現在は予防のために、同じ処方を飲み続けています。
現代病名:耳鳴り
出典:「漢方LIFE」 発行所:DeAGOSTINI(2005) 担当医師アドバイス