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【黄連湯の症例・治例】…次の症例に近い病症の方は、本方剤をお奨めします。
和泉屋市兵衛の妻40歳代。
暑気に感じて、嘔吐腹痛、心下煩悶している。
そこで黄連湯加茯苓を与えたと
ころ、病状は大いに安定した。しかし患者は数年来個疾があって、腋下より心下に衝逆して痛み、痛むときは
酸苦水を吐すこと数合に及び、甚しいときは飲食口に入ることができない。或は朝の食事を暮れに吐し、腹中
雷鳴して大便秘し、或は心下急痛して背に徹するという。
苓桂甘棄湯に起廃丸を兼用し、また解急蜀傲湯など
を与えて快方に向った。
現代病名:急性胃腸炎
魚屋の樋口某が、魚肉を過食して心腹疼痛甚しく、死せんばかりの苦しみであった。
備急円を与えて吐利数回すると少し快方に向つた。そこで黄連湯を与えてよかった。
ところが、ある夜大いに嘔吐を発し、飲食は全く口に納れることができなくなった。このときは甘草粉蜜湯を服さしめて嘔吐がようやく治った。
現代病名:中毒症