ここに記述した文書は、すべて医師または薬剤師の漢方薬処方箋解説です。医薬品購入使用者の口コミ情報ではありません。
【人参湯(理中丸)の症例・治例】…次の症例に近い病症の方は、本方剤をお奨めします。
Tさん(80歳・女性)は、かぜをこじらせて寝込んだときに、何も食べられない状態になってしまいました。家族が食事を作ってくれるのですが、胃がもたれて食べたいという気持ちにもなれません。のどがふさがっていて、食べ物が入っていかないような感賞もありました。
Tさんを診察した医師は、のどがふさがって入っていかないという症状を目安にして、人参湯を処方しました。人参湯を飲んだTさんは、その数分後には、も
う食事ができるようになっていました。
現代病名:胃もたれ
出典:「漢方LIFE」 発行所:DeAGOSTINI(2005) 担当医師アドバイス
Wさん(41歳・女性)は、耳鼻咽喉科でアフタ性口内炎の治療を受けましたが、よくなりませんでした。
小指の頭大の患部が2つあるのですが、ステロイド軟骨ではほとんどよくならなかったのです。そこで、漢方治療を受けることにしました。
処方されたのは、温清飲と人参湯。温清飲には痛みと炎症を抑える働きがあり、人参湯には胃の働きを高める作用があると説明されました。それに口の中を清潔にするために、番茶でのうがいも勧められました。治療を開始して10日ほどで、痛みが消え、潰瘍もきれいになくなってしまいました。
現代病名:アフタ性口内炎
28歳・女性のS美さんは、もともとやせている方でした。しかし「もう少しだけやせたい」とダイエットをするうちに、月経が来なくなってしまったのです。びっくりしたS美さんはすぐダイエットを中止したのですが、月経は一向に来る様子もなく、そのまま数ヵ月が過ぎてしまいました。
実姉に漢方薬を処方するクリニックを紹介されたのは、そんなときです。実姉はこのクリニックで月経不順を治した経験があったのです。
やせて体が冷えているS美さんに処方されたのは人参湯でした。月経不順を治す以前に、体力を戻すことでダイエットによって低下した全身の機能を正常化させる必要性があったのです。これを飲みはじめて半年後に、少しだけ月経がありました。そこで当帰芍薬散も処方に加えられました。
人参湯との2本立てで漢方治療を続けたところ、まもなく月経が毎月来るようになったそうです。
現代病名:月経不順
出典:「漢方LIFE」 発行所:DeAGOSTINI(2005) 担当医師アドバイス
一婦人、胸痛を患うこと1~2年になる。
発すれば食することができない。食すると咽に塞って下らない。
手足が冷え、心下は播硬し、これを按じてみると石のようである。脈は沈結である。
人参湯を服すること数十日で諸証消散し、胸痛も全く治った。
現代病名:胸痛
50歳の婦人。
太って色白、筋肉軟弱、主訴は半年前から右の脇下が痛み、何かつかえている気持である。
1週間前からみぞおちが痛むようになり、痛むときはその部が硬くなり、しばらくすると音がして何か下にさがると痛みがやみ、軟かになる。その後で放屈することが多い。腹は一体に膨満し、振水音が著明である。大便一行、冬は手足や腰が冷え、小便が近い。
人参湯によって、みぞおちが爽快になり、からだが軽くなって気分がよくなった。
現代病名:右上腹部痛
5歳の女児。
10カ月前から毎月8日~9日ごろになると、きまったように激しい嘔吐を起こし、コーヒーのかすのようなものを吐き、呼吸が早くなり、いまにも死ぬのではないかと思うほど重篤な症状になる。このような発作は2~3日でおさまり、重湯からお粥となり、ご飯を食べられるようになると次の発作がくる。大便はあるが発作のときは便秘する。腹は小さくて弾力がない。
人参湯3ヵ月で全治した。
現代病名:自家中毒症
30歳の婦人。9ヵ月も前から、絶えず生唾が上って、食事したあと吐くことがある。また咽喉や胸がつかえたり、心下部がチクチク痛んだり、就寝中に心臓部が痛んだり、ドキッとしたりするという。大便は軟かで夜間小便に一度起きる。
中肉中背で、それほど体力の低下は見えない。脈は沈んで小さく、腹部は肉付き普通で、心下部直下に抵抗があり、臍傍の左上に動悸の亢進が触れる。
この患者には、口に唾液がたまる、夜小便に起きるの2点を目当てに人参湯を投与したが、1ヵ月足らずで、これらの症状はすっかりよくなった。
現代病名:唾液分泌過多症
老婦人。平常胃癪(胃のさしこみ)の気味があって、毎年一度は必ず起こった。昨年の夏は半月余り苦しんだという。
その証は、左の心下部に激しい痛みを発し、七転八倒の苦しみをする。脈は微弱で大便一回、小便頻数である。痛みは肩へかけて突き上げ、肩の張りが甚だしい。痛みが去ると肩の張りも消えて跡方もなくなるという。
肩の凝りは右側ではないかと試みに問うと、婦人は驚いて、そのとおりだという。金匱に心中居留気結ぼれて胸にあり、胸満脇下より心を逆槍するものと、逆槍は起こるところより反対側に突き上ぐるもののことである。いま左より右に突き上るはすなわちこの逆槍である。
小便数、脈弱、これ人参湯の正面の証としてこれを与えたところ、一服して釈然として忘れたようで復た起こらなかった。
現代病名:胃痙攣
63歳、自営業。
急性心筋梗塞をおこして2ヵ月間入院した後回復して退院したが、その後心窩部の不快感と胸騒ぎ、それに不安感を伴う狭心症発作を週に何回も起こします。発作時は心電図にも少し変化が現れます。
元気がなく、脈は沈んで細い。舌は淡白で湿っており、腹部は軟弱でみぞおちに軽い抵抗がある。
これらの所見から人参湯を処方したところ大変良く効いて、それっきり発作がほとんど起きなくなりました。
現代病名:急性心筋梗塞
出典:「いのちを養う漢方講座」 発行所:葦書房(2000) 担当医師:高山宏世
Wさん(41歳・女性)は、耳鼻咽喉科でアフタ性口内炎の治療を受けましたが、よくなりませんでした。
小指の頭大の患部が2つあるのですが、ステロイド軟膏ではほとんどよくならなかったのです。そこで、漢方治療を受けることにしました。
処方されたのは、温清飲と人参湯です。温清飲には痛みと炎症を抑える働きがあり、人参湯には胃の働きを高める作用があると説明されました。
それに口の中を清潔にするために、番茶でのうがいも勧められました。
治療を開始して10日ほどで、痛みが消え、潰瘍もきれいになくなってしまいました。
現代病名:アフタ性口内炎
出典:「漢方LIFE」 発行所:DeAGOSTINI(2005) 担当医師アドバイス
胃がんが再発して、手術はできず、抗がん剤を投与されたHさん(64歳・男性)は、貧血がひどく、吐き気がして、まったく食欲がなくなり、抗がん剤を使えなくなってしまいました。
副作用さえ出なければ、抗がん剤が大変効くタイプのがんであったので、なんとかしたいと漢方の専門家を訪れました。
そこで、人参湯と十全大補湯を処方され、服用したところ、だんだん副作用が出なくなり、抗がん剤治療を無事受けることができたそうです。体重も48㎏まで落ちていたのが58kgにまで回復し、希望が持てるようになったということです。
現代病名:胃がん
出典:「漢方LIFE」 発行所:DeAGOSTINI(2005) 担当医師アドバイス